祭りを通した自然・文化の継承と
ライフラインの確保
井川の「明日」を見据える 井川自治会連合会 会長
毎年11月に行われる、紅葉まっさかりの井川の秋のお祭り。神輿(みこし)が村を練り歩き、井川神社では、秋の例祭がにぎやかに行われ、神楽舞(かぐらまい)が奉納されます。井川小学校体育館では、農林産物品評会が行われ、即売も行われます。
「祭りは、当番組みといって、井川を4つの地区に分け、持ち回りで係を決めて実施します。秋祭りのほかに冬のお祭り、春のお祭りもあり、当番になった年は、忙しい一年を過ごすことになります。」と語るのは、井川自治会連合会 会長の栗下さん。
「祭りというのは、やめることはできないんですよ。それは、その地区がなくなってしまうことを意味します。たとえば、田代にヤマメ祭り(静岡県指定無形民俗文化財)というのがありますが、普段は禁漁区とされる神聖な谷「明神谷(みょうじんだに)」で釣りをして、獲れたヤマメを塩漬けにし、粟(あわ)をまぶして「ヤマメずし」を作り、神に捧げます。その粟(あわ)や稗(ひえ)は、焼畑で作るんです。要するにヤマメ祭りを続けることで、神聖な谷「明神谷」には誰も立ち入らないというしきたりが残り、古来から棲んでいるヤマメの生態系を守ることにつながりますよね。また、焼畑やヤマメを使った保存食の作り方などが祭りを通じて、伝承されていくわけですよ。」と栗下さん。祭りをきちんと行うことで、自然を守り、地区が存続し、人々の暮らしが成り立っているのです。
最近では、高齢化が進み、祭りも人手不足ぎみですが、市街地に行ってしまった若い方たちも祭りのたびに帰ってきてくれるそうです。また、中部電力さんや静岡市井川支所のみなさん、それから森林組合のみなさんも参加してくださるので、「たいへん助かる」と栗下さんは言います。
「2014年6月にスウェーデンで開催されたMAB計画国際調整理事会において、南アルプスユネスコエコパークが正式に登録されました。その影響もあり、最近では、県外の車もたくさん来るようになりましたね。四国や九州など遠距離のナンバーも良く見かけますよ。井川をみなさんに知っていただくいい機会になっています。」と栗下さん。
「ただやっぱり、道が狭いのでね。なんとか道路の整備が進んでくれたらうれしいですね。この井川の歴史や文化・暮らしを守るためにも、観光客のみなさんや登山客のみなさんに、南アルプスまで安全に来てもらうためにも、今以上にさまざまな働きかけをしていきたいですね。」と栗下さんは、最後に、そう熱く語ってくれました。
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