山小屋レポート - 聖平小屋report
笑顔に会いたくて山にいます - 聖平小屋 大島公男さん -※取材記事は2019年のものになります。
聖平小屋は、日本百名山の聖岳に最も近く、120人を収容できる南アルプス南部の山小屋では最大の規模を誇る。2018年から聖平小屋の管理人をしている大島さんを取材した。
施設情報※施設情報は2022年のものになります。
営業期間 | 2022年 7/16(土)~9/24(土) |
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標高 | 2,260m |
収容人数 | 50人 |
料金 | 1泊素泊まり 9,000円(寝具込) 食事の提供はありません。 予約無しの場合、10,000円となります。 ※インナーシュラフをご持参ください。 |
幕営 | 一人2,000円(30張) |
トイレ | あり(水洗) |
水場 | あり(無料) |
WEBサイト | ■聖平小屋ホームページ ■聖平小屋Facebookページ |
予約・お問い合わせ |
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備考 |
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Love smiles especially in the mountain
大島さんは、『山ガール』という言葉が流行する少し前の、51歳の時に初めて友人と富士山に登った。この時に登山靴を買い、一回だけの使用だけではもったいないと思い、勤めていた会社で登山仲間を募り、北アルプスの山々などを歩いたことがきっかけで、さらに登山への興味を広げて行った。登山を続けていくうちに、これからは、山に携わる仕事をしたいという想いが強くなり、妻の理解もあり、会社を早期退職して、山小屋の仕事を始めた。山小屋の仕事は、これまでやった事が無く最初は非常に不安だったが、同時期に退職し山小屋に入った仲間とともに、前管理人の原田さんにノウハウを教えて貰いながら、仕事を習得して行った。
山小屋の運営は、山登りのプロフェッショナルの観点で運営されることが多いという大島さん。しかし、現在の登山者には、観光レジャーの延長として捉えている人も増えており、そのニーズを十分に満たす事が難しい状況である。また、装備や登山計画が不十分な登山者も散見されるため、しっかりとした準備はもちろん、一定の危機感を持ちつつ山行を楽しんでほしいとのこと。より多くの人達に、登山を楽しんでいただき、山頂からのすばらしい風景を見てもらうために、山小屋の環境を少しでも改善したいと大島さんは常々考えているという。登山経験=非日常体験であるという事を大切にしながら、訪れる登山客に特別な時間を提供できるように心がけている。
『山頂までの厳しい山道では、登山者は、非常に苦しい表情をしていますが、山頂に到達してその景色を見た途端に笑顔に変わるんですよ。だれもが、山頂では笑顔で、その、笑顔を見るのが好きなんですよ。』と大島さん。見出しの英語は、この言葉を英文にしたもの。聖平小屋のスタッフは、この文字が刻まれたTシャツを着て、大島さんと同じ気持ちで働いているとのこと。
聖平小屋周辺の景色
前聖岳から奥聖岳に向かう、夏でも残雪があるところに咲き乱れるチングルマが、とてもきれいとのこと。この場所からは、富士山も見る事ができる。上河内岳などに行く間には、小規模ながらたくさんのお花畑も点在している。また、ニホンジカの食害により消滅の危機に瀕していたが、防鹿柵設置の効果もあり7年の歳月をかけて再生したニッコウキスゲの群生地など、聖平小屋周辺には、ここでしか見ることができない景色が散在している。
聖平小屋のこだわり
大島さんは、『私は登山家ではないので、観光客の目線で山小屋の運営を考えて行きたい』という考えがあり、少しでも快適に山小屋での時間を過ごしてもらえるよう、様々な工夫をしている。例えば、寝袋の下に敷く銀マットを厚いものに変更したり、寒さに備えてストーブを滞在者の近くに置けるように工夫したり、細やかだが、心温まる気遣いをしている。
聖平小屋の夕食は、こんにゃく、ちくわ、たまご、昆布やその他練り製品が入ったおでん。気候の変化が激しい山の中で、心も身体も暖まるのが嬉しい。
井川の食材を使ったメニューを検討したり、現在より効率の良い自家発電を試行したり、大島さんの尽きないアイデアで、登山者の非日常の時間がワンランク向上していくかもしれない。
山小屋レポート



静岡市から登る南アルプス

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