山小屋レポート - 百間洞山の家report
3代続く名物「とんかつ」を提供
- 百間洞山の家 藤井孝宣さん -
赤石岳と聖岳の間に位置する百間洞山の家。山小屋の脇に流れる小川と樹林帯に囲まれた風景が癒しの空間となっている。この小屋の管理人である藤井さんを取材した。
施設情報
営業期間 | 2023年7月13日(木)~9月24日(日) |
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標高 | 2,560m |
収容人数 | 30人 |
料金 | 1泊2食 13,000円(寝具込) |
食事提供 | 夕食 2,000円 朝食 1,000円 弁当 1,000円(別途) 飲料類の販売あり |
テント | 幕営 一人2,000円(20張) |
トイレ | あり |
水場 | あり |
WEBサイト | https://www.t-forest.com/alpsinfo/climber/lodgeinfo/ |
予約について | 小屋泊は、事前に予約が必要です 【6/1から予約受付開始】 |
問い合わせ先 | (株)特種東海フォレスト 事業開発部 電話番号:0547-46-4717 |
やり残したことを家族と実践
学生時代、藤井さんは、山小屋でアルバイトをすることも考えていたが、時間的な余裕を考慮して登山を優先して過ごした。やがて社会人になり、就職したが退職。やり残したことが無いかを考えたときに、『山小屋』で働きたいという思いが真っ先に浮かび、1年間だけ山小屋で働くことを決意。
小屋でのアルバイト経験を通じて、北アルプスの山小屋は、大規模なためスタッフが各業務を分業制で担当しているが、南アルプスの山小屋は、小規模な小屋が多く、少人数であらゆることを行わなければならないという違いに気付いた。藤井さんは、大変だが、様々な業務を行うことができる南アルプスの山小屋管理人になりたいと思ったそうだ。
赤石小屋でアルバイトをしているときに、百間洞山の家の前管理人にスカウトされて2年間働き、管理人を引き継いだ。当初は、最初に入った熊の平小屋の楽しい思い出があり、熊の平小屋の管理人を希望していたが、今では、百間洞山の家に愛着が沸き、スタッフと小屋を運営している。
百間洞山の家 周辺の景色
1992年に建築された木造3階建ての小屋。標高2,500m前後の樹林帯にあり、水が滾々(こんこん)と流れている風景が癒しの空間となっている。
小屋から、山々の谷あいに見える聖岳は、藤井さんお気に入りの風景だ。百名山には入っていないが、小屋の裏山から見る大沢岳は、新緑の季節はとてもきれいに見える。大沢岳よりも登る人が多い中盛丸山からは、笊ヶ岳越しに富士山が見える。距離的に僅かに違う2つの山だが、見える景色はそれぞれ異なるそうだ。
百間洞山の家のこだわり
百間洞山の家といえば「とんかつ」を想起する登山者が多い。藤井さんで3代続けて提供している。夕食は、この定番の「とんかつ」に「そば」と「付け合わせ」とボリューム満点。
炊きたての「ご飯」とあつあつの「とんかつ」の提供にこだわり、食事は各回8名程度の交代制。藤井さんとスタッフは、状況を見ながら『ご飯』と『とんかつ』の準備をしている。
スタッフしかできないことを優先して、食器返却やおかわりはお客様自身に行ってもらうことにより、スタッフとお客様とのコミュニケーションが増えた。
藤井さんは、若手の育成にも力を入れており、1年目のアルバイトにも一から料理を教えている。料理の出来が合格点に達すれば、誰でもお客様に料理をふるまえる。お客様に喜んでもらう体験が、スタッフの一番の成長に繋がると考えているそうだ。
静岡市から登る南アルプス
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