イベント情報Event information
井川 de
山菜グルメ
- 1日目 -
「山菜がいっぱい!」春の井川で自然の恵みを味わう
寒い冬が過ぎ、桜の季節も終わる4月下旬。寒々しかった木々も新緑の葉が芽吹き、新しい季節の始まりを感じる。
今回は、南アルプスユネスコエコパーク井川自然の家(以下井川自然の家)で毎年、開催されている「井川de山菜グルメ」を取材した。
山菜採りの説明を受ける
今回のイベントは、1泊2日で開催された。参加者は井川自然の家の本館と昨年改修された井川自然の家の新館に宿泊し、1日目は、山菜採りと天ぷら作りを体験。2日目は、施設内の4つのブースで、椎茸の菌打ち体験や、自然物の同じもの探しなど、家族で体験できる野外ミッションゲームを楽しむ。静岡市内在住の8組30名がイベントに参加した。
参加者は、井川自然の家に昼頃集合。腹ごしらえの昼食を食べた後、施設内の集会広場へ。山菜採りといっても毒性のある野草もあるため、初心者だけでの山菜採りはしないようにしたい。施設内で見かける危険な野草について、講師の岩見惣吉さんから説明を受ける。実際に施設内で見つけたトリカブトやマムシグサ、ムラサキケマンなど、一見目を引く花が咲くが、触れるだけでも危険な野草達には注意するように説明があった。
また、井川自然の家のスタッフからは、自然環境やマナーの問題で、山菜の収穫量が年々減少しつつあるため、自然の恵みに感謝しながら「自分達が食べられる量の山菜を採ること」や「山菜ごとに異なる採る時のマナー」などの説明があった。環境面から自然を考える事は、SDGsの考え方にも則る。
たくさんの山菜を探す
各家族が4組のチームに分かれて、スタッフの引率のもと山菜採りへ。
引率のスタッフが「これは山菜のコシアブラです」とスッと伸びた山菜を紹介してくれた。大木から、まだ数年しか経過していない若木のコシアブラが、施設内各所にあった。枝先についた新芽や葉を天ぷらにすると美味しいとのこと。土から生えている野草が山菜と思う人も多いかもしれないが、木の芽や葉が山菜として食用で食べられることに参加者は驚いていた。
しばらく進むと「これは、山菜の王様 たらの芽です」との説明が。枝に葉、棘がある山菜だ。枝先についた新芽は、少しエグ味があるが、食べ応えがある。採り方に注意しないと、来年以降は採れなくなるという説明があり、慎重にハサミを使いながら採っていく。
施設内には、虎杖(イタドリ)、ふき、黒文字(クロモジ)など、少し歩けば自然の恵みがいっぱい。虎杖は人気漫画の主人公の名前、ふきは小ぶりの葉っぱの方が天ぷらにすると美味しい、黒文字の枝は高級爪楊枝の原料など、山菜に関する知識が豊富なスタッフの話を聞きながら施設内を一周する。
路地に咲いているたんぽぽも、小ぶりながら天ぷらにすると美味しいとのこと。子供達は、黄色に色づいたたんぽぽを一生懸命摘んでいた。
そのほか、原木から椎茸を採ったり、秋の名残の松ぼっくりを拾ったり、子供達は普段体験できない自然との触れ合いに刺激をいっぱいもらったようだった。
2時間あまりで家族で食べられる量の山菜を採った。自分たちで採った山菜をこれから天ぷらにする。
自分で採った山菜を天ぷらに
採った山菜を種類別に分別していく。
食べられない山菜を採っていないか、岩見さんが一つ一つチェックしてくれる。また、自分達が採った山菜の名称も書いてくれるので、山菜の知識も自然と高まる。
岩見さんのチェックを受けた後、天ぷらの衣を用意し、子供達は慣れない手つきで、一生懸命天ぷら粉をかき混ぜる。これで天ぷらを揚げる準備ができた。各家族に用意されている油鍋にいよいよ山菜を入れる。
各テーブルから天ぷらの揚がる香ばしい匂いが立ちのぼる。火加減や水分に気をつけながら、天ぷらを揚げていく。
自分達で採った山菜の揚げたての天ぷらを、パリパリと美味しそうな音を立てながら、家族で味わう。また、井川自然の家のスタッフが用意してくれた山菜や椎茸なども揚げ、春の井川の旬を味わった。肉厚な椎茸も非常に美味しそうであった。井川の自然の恵みのおかげで、みんなが幸せな時間を過ごすことができた。炊き込みご飯や菜の花の味噌汁なども用意され、身体に優しい夕食に参加者達は大満足だった。
夕食後、恒例の季節の星座の話をスタッフがしてくれた。市街地と異なり、灯りも少なく澄んだ夜空が見られる井川は、星空観察も楽しめる。ちなみに春の井川の夜空では、『春の大三角』や『春のダイヤモンド』なども見られるそうだ。