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井川大仏 秋の例祭

井川大仏 秋の例祭

 爽やかな秋晴れの中、毎年恒例の井川大仏例祭が今年(2018年)も開催された。井川大仏が建立されて38年余り。今年は、例年と異なる特別な例祭となった。

井川の自然に魅了された
歯科医師

 井川大仏を建立したのは、北海道室蘭市出身の佐藤平一郎先生。『健康の根源は、一本々々の歯を大切にすることにあるのに、僻地の人達は、治療に行く事もできないで、あたら(やたらに)尊い寿命を縮めている。』と嘆き、僻地医療を決意してアイヌの村などに赴任した。昭和50年8月に佐藤先生は井川に招聘され、井川診療所に勤務した。先生は、井川の夜明けの清らかさと日の出の美しさに心ひかれ、井川湖の湖畔や近くの丘陵にしばし佇み、この神秘的な光景に見入っていた。そのうちに、『そうだ、私も、おかげで六十余年を無事に過ごすことができたが、ここで、お礼の意味をこめて、この美しい土地に仏像を建立しよう。』と思いたったと言われている。(引用元:『井川大仏パンフレット』より)

佐藤先生夫妻が4年の歳月を
費やして制作した大仏

 『どの宗派ということなく、どなたにも気持ちよく拝んでいただけるような、諸々の仏様のお徳を備えた大仏を造りたい。』と『四海平等 人類平和・繁栄 一切の恵興を祈念す』という願文を書いた。佐藤先生夫妻は、歯科治療の合間をみて、頭部、胴部、腰部の3つに分けて鉄骨を組んで、雨の日も風の日も一コテ一コテ、セメントを塗り付けていった。その姿を見た村民や、この善行に感動した人々からの地域を超えた激励が、日増しに強くなっていった。こうして4年の月日を経て、総重量二十数トンを超える井川大仏が昭和55年8月10日に完成した。大仏は、先生が井川湖の神秘的な景色を眺めていた丘陵『望寿台』に安置された。昭和55年11月1日に、真言宗智山派医王山油山寺貫主鈴木快存僧正を導師として開眼・供養が厳修され、「一切如来」と称する井川大仏が誕生した。歯科医が建立したこともあり、歯にご利益があると言われている。

井川大仏 秋の例祭
綺麗になった井川大仏

38年間のお礼を込めて

 38年間井川を見守り続けてきた井川大仏。長年の風雪に耐え忍んできたが、老朽化が進んだため、本年(2018年)建立以来の改修を行う事になった。井川大仏の例祭では、通常、地元の人々によるご詠歌や福引、餅まきなどが行われているが、建立当時の美しさを取り戻した大仏様の前で、本年は法要をはじめ大道芸や屋台出店など例年を上回る内容で開催された。

 まずは、漣 輝堂(さざなみ きどう)方丈による法要が執り行われ、38年間井川の人々を見守り続けた井川大仏に感謝を捧げた。

井川大仏 秋の例祭
漣輝堂方丈による法要

 次に、毎年詠まれている地元の女性達によるご詠歌。

井川大仏 秋の例祭
38年間の感謝の気持ちを込めてご詠歌を読む

 井川大仏の法要が終わると、3人のパフォーマーによる大道芸が大仏の前で実演された。3人のパフォーマンスに地域の人達や観光客も大いに盛り上がった。

井川大仏 秋の例祭
あまるさんによるパフォーマンス

 境内では、屋台も出店されて快晴の秋のひと時を人々は楽しんでいた。

先人の想いを後世につなげる

 取材で、何度も井川に足を運んでいるが、なぜ、井川に大仏があったのかを以前より疑問に思っていた。北海道出身の佐藤先生が、井川の神秘的な自然美を愛し、この地に大仏の建立を決めたのは北海道に勝るとも劣らない神秘的な自然が残っているからなのだろうか?

 取材時、佐藤先生が好んだ井川の風景は、紅葉の真っ盛りだった。真っ赤に燃える景色の中、真っ白な井川大仏は、一際目立っていた。

 建立当時の輝きを戻した井川大仏は、今後も井川の街を見守りながら、後世に守り続けられるだろう。

井川大仏 秋の例祭
井川の紅葉
開催日・開催期間 毎年10月頃
※2018年は10月28日に開催
会場 井川大仏境内
駐車場 大仏駐車場
主催 井川大仏奉賛会
お問い合わせ 井川大仏奉賛会
(南アルプスユネスコエコパーク井川ビジターセンター内)
054-260-2377

※この情報は、2018年11月1日現在のものです。
 開催時間など掲載内容は変更されている場合があります。おでかけ前に主催者・施設にご確認ください。

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