
代々伝わるヒエやコウボウキビを栽培する
「若いときはね、太平洋戦争でね。昭和20年の7月25日に兵隊に行ったですよ。それでも命からがら井川に戻れてね。でも仕事がないから、電気設備の索道の仕事をしていたんですよ。高いところに登ってね。山から山に高圧線を渡す仕事だった。きつかったね。こわい仕事だった。でもやりがいもあったんだよ。」と、眼を細めて昔の思い出に浸るのは、望月豊さん。なんと、90歳!(※取材時)今も安政の地震(江戸時代後期)の時に建てた立派な旧家に息子さんと一緒に住んでいます。

「昭和50年ごろだね。歳のせいで索道の仕事もきつくなってきたので、農業一本に専念したんですよ。在来作物ですよね。特に五穀を作っています。」と望月さんは語ります。
「五穀」は、日本においては、「いつつのたなつもの」あるいは「いつくさのたなつもの」とも読み、古代からその内容は一定していませんが、現代では、米・麦・粟(アワ)・豆・黍(キビ)または稗(ヒエ)を指すことが多いようです。いずれも代表的な人間の主食で、最近では健康志向の高まりから、これら五種をブレンドした米を食べる方も増えました。
「粟(アワ)は別名〈こめもどし〉と言われています。穂は大きく育つのに実際に脱穀すると収穫量が少なくなっちゃうの。(笑)だから、爺よろこびの婆泣かせって言われてたね。それから、〈ネコアシ〉という粟の種類ね。あれは、よくお餅にするんだけど、粟の祖先種が<エノコログサ 別名:ネコジャラシ>だからつけられた名前なんですよ。勉強になるでしょ?」と望月さん。むかしの井川の生活風景がしのばれます。昔の焼畑のことや代々続く在来作物の種の話を90歳と思えないしっかりとした口調で話をしてくれました。
「一度、もち米に粟と山ごぼうの葉を混ぜて食べてごらん。おいしいよ!どこの草もちよりおいしくなる」と自信満々な望月さん。
<手順>
- 山ごぼうの葉を摘んでゆでてから水にさらしてよく絞る。
- 前日に、もち米と粟を洗って水に浸しておき、当日、ザルに上げよく水気を切って蒸し器にて蒸す。
- 粟+もち米が蒸しあがったら、[1]を上にのせてさらに蒸す。
- [3]が蒸せたら、餅つき機でつく。塩を少々入れて塩味をつける。
みなさんも一度作ってご賞味あれ!ちなみに望月さんの作った粟を手に入れたい方は、井川湖写真堂(静岡市葵区井川797 電話番号:054-260-2401 日曜定休)で手に入れることができます。

「後継者ですか。やっぱり井川の在来作物は絶やしちゃいけないからね。息子が継いでくれると思いますよ。」と望月さんははっきりとした口調で話していました。
安政の時代から続くこの旧家に住みながら、伝統は守り続けられるのでしょう。
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